2019年7月29日月曜日

三十一番;志村の湧水群(6)小豆沢公園東側、崖下の湧水と暗渠の湧水

 前回から続いて、小豆沢公園崖下の湧水を見ていこう。公園西側の崖の中腹で湧いた水は、斜面を東へとなだらかに下る、林の中の人工的な水路を流れていく。

 崖下まで降りてきた水は、公園東端のやや大きめの池に流れ込む。写真は晩秋の様子。広葉樹に囲まれた池には落ち葉が沈み、紅葉が映える。

 こちらは今年の6月、池の下流方向からの眺め。緑が鮮やかだ。今年は湧水量が少ないせいか、池に溜まる水はやや濁っている。

 この池には水路から流れ込む水の他、2箇所の湧水が流れ込んでいる。ひとつは背後の崖の下から。

 この辺りの崖線は下部が石積みの擁壁で覆われているのだが、湧水はその裾の地面との境目、コンクリートで保護された塩ビ管から流れ出している。

 水量は絶え間なく流れ出しており、小豆沢公園の敷地内の湧水ではここが一番水量が多そうだ。板橋区の調査では毎分15リットルほどとなっているが、この夏は昨年秋冬の少雨の影響かそれよりは少なそうだ。水温は18.1度と、西側の湧水より少しだけ低かった。

 かつては台地上に立ち並ぶ工場の影響で地下水汚染が発生していたようだが、今はどうなのだろうか。動画で池に流れ込むまでの様子を追ってみた。

 この湧水口は秋には落ち葉に埋まり、その中から水が湧き出しているようにも見え、なかなか素敵な風景になる。

 さて、池の東端まで行くと、公園と住宅地の境目にコンクリート蓋掛けの水路が通っている。道路に面した鉄板の蓋が印象的だが、これは小豆沢の崖線に深く食い込んだ井戸谷津、とも呼ばれる谷に流れる水路だ。そして、この中には谷で湧いた水が流れており、ちょうど鉄板の蓋があるところの中に堰があって、導水管でその水を池に引いている。こちらが池のもう一つの水源だ。
 池に流れ込む量は板橋区調査によれば毎分8〜13リットル、そして堰をあふれた水は下水に流れ込む仕組みになっているのだが、少し前まではいつも堰を落ちる水が轟々と音をたてていたから、調査の水量よりも更に多かったのだろう。
しかし、今年になって何度かこの場所を訪れたが、いずれのときも水音はしなくなっていて、蓋の柵から中を覗いても水の気配がない。思い当たるのは、数年前から井戸谷津の谷にあった屋外プールを室内プールに改築する工事が始まり、2019年に立派な建物がオープンしていることだ。もしかして、建物の工事により水脈が途絶えてしまったのだろうか。そうだとすれば大変残念な話だ。湧水量の増える秋にもう一度状況を確認したいところだ。

住所:板橋区小豆沢3
水量:崖下:普通 暗渠:枯渇か?
用途:池
立地:成増台(東京都の立地区分による)
タイプ:崖線
湧出地点の標高;9m
水温;18.1度 (2019年6月) 
水系:新河岸川
東京都湧水台帳コード:Na-45

地図出典:カシミール3Dで基盤地図情報EDMデータ及び地理院地図を表示したものを加工

0 件のコメント:

コメントを投稿